今大会の結果は残念だったが、演技後のインタビューで中野コーチが三原の体の調子の悪さに触れていた。足の調子が悪かったのだという。10試合以上も戦い続け、足にも相当疲労がきたのだろう。
しかし、そのようなそぶりは記者たちの前ではまったく見せなかった。くやしさをにじませたフリー後の会見でも
「もっと成長した自分をみせられるように。やっぱり練習が大事。練習に耐えうる体っていうのをもっともっと強くしていきたいなと思います」
そして、会見をこう締めくくった。
「本当にたくさんのバナーだったり、日本の国旗を滑る前に見ることができてほんとに幸せだなという思いがいっぱいだったんですけど、演技でお返しするというのができなかったので、もし今後も応援を続けて頂けるのであれば、あの全力で恩返しができるようなスケーターになっていきたいと思いますので、これからも応援よろしくお願いしますって言いたいです」
翌25日の囲み取材。足の状態を聞かれた三原は、
「私からは言わないでおこうと思ってて。コンディション調整も含めてトップアスリート(になっていけるように)。どんな状況でも心配させないようなスケーターになりたいと思ってて。すみません」
と頭を下げた。
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今大会、演技以外のシーンで記者の印象に残ったことがある。
演技後の囲み取材直前、親友でありチームメートの坂本花織の演技が始まるところだった。ミックスゾーンで記者たちの取材に対応する直前、離れたところにあるテレビ映像に目をやり(これから演技が始まる坂本に向けて)三原は小さく、本当に小さな声でつぶやくように、「かおちゃん、がんばれ。かおちゃんがんばれ」と声を出していた。
そして、取材で優勝した坂本について尋ねられると「全力で『おめでとう!!』って言いたいです」と弾んだ声で答えていた。
彼女が愛されるのはこんなところなのかもしれない。(大崎百紀)