ビジネスモデルが注目されているのは、米国の「カンブリアン・バイオ・ファーマ」だ。細胞、遺伝子、免疫など老化制御や長寿化に様々なアプローチでかかわる企業を網羅的に子会社化する同社の強みについて早野さんは「老化による病気を1つ1つ治すより、老化そのものを病気として治療するのは医療経済的にも合理的です」と話す。

 老化制御の関連ビジネスは動物用医薬品、サプリメント、デジタルヘルスアプリ、金融サービスなど多岐にわたる。「ペット老化治療薬は世界的にもニーズが高く、迅速かつ低コストでの開発も可能」(早野さん)という。

 米国では21年に老眼治療薬が承認されている。国内では、早野さんも慶應義塾大学発の医療機器ベンチャー「坪田ラボ」でCSO(最高科学責任者)として老眼治療薬の開発に携わる。早野さんは言う。

「アレルギーやドライアイもかつては病気とは認識されていませんでした。老眼やサルコペニア(筋力低下)も近い将来、『治療できる病気』として定着するはずです」

(編集部・渡辺豪)

AERA 2023年2月27日号より抜粋

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