お寿司が手軽な値段で食べられる「回転寿司」。よほどセレブな方を除いて、ほとんどの方が一度は行かれたことがあるのではないでしょうか?
【現在と比較して昔の回転寿司はどんなイメージだった!? イラストはこちら】
筆者が子どもだった昭和の時代には、お寿司は子供が気軽に食べられるものではありませんでした。高校2年生の秋、部活でいい成績を残したご褒美にと顧問の先生に連れて行ってもらったお寿司屋さんで、生まれて初めて食べたウニのおいしさはいまだに忘れられません。「こんなにおいしいものが世の中にあるのか!!」といった衝撃でした。
今回は、高級料理だったお寿司を身近にした回転寿司のルーツと進化についてのお話です。
日本で初めての回転寿司は、1958年に東大阪で誕生しました。「元禄寿司」の創業者が、ビールを製造するベルトコンベヤーをヒントに、お客様の注文を楽しく効率的に届けるために「コンベア旋廻食事台」を考案したのが始まりです。
1970年に開催された大阪万博に出展されたことで一気に認知が広まりました。その後1978年に「コンベア旋廻食事台」の特許が切れたことで、昭和の終わりにかけて多くの回転寿司店がオープンしました。くら寿司の創業もこの頃です。
当時の回転寿司は、陸上のトラックのような楕円形のレーンの内側に職人さんがいて、握ったお寿司をレーンに乗せ、レーンの外側に座っているお客様が自由に皿をとって食べる方式でした。注文は、中にいる職人さんに「ハマチ握って~」と直接頼んでいました。職人さんのまわりを寿司が回転するから「回転寿司」だったわけです。
一方、現在大手回転寿司チェーンで主流となっているのは、座席の間をレーンが流れていく「E型レーン」と呼ばれる形です。E型レーンが初めて導入されたのは、1987年のくら寿司のお店でした。サラリーマンの一人客が中心の回転寿司を、どうすれば家族連れでも気軽に入れる店にできるか。くら寿司の創業者が、ファミリーレストランの座席にヒントを得て考えだしました。このE型レーンの誕生でお寿司を家族で気軽に楽しんでいただけるようになり、回転寿司が一気に日本中に拡大していきました。