息子に怒りました。もうipad禁止にすることに決めました。が、怒ってる途中に、この怒りは何も生まないなと思い始めました。息子が反省していることを次につなげたいなと。

 そこで、思いつたことを息子に言いました。「ipadは没収です。そのかわり、2年生から習う掛け算九九を全部覚えたらipadを返します」と。

 すると、息子は「えーーーーー!??」と驚いた顔をしました。

 だけど、ipadが永遠に禁止になるわけではないことに少し安心していました。翌日から、息子はとんでもない勢いで掛け算を勉強しています。その集中力を見て「やれるんかーーーい」と思わず突っ込みそうになりますが。大好きなものをなんとか取り返してやろうという思いが、掛け算九九に繋がっていく。

 僕は中学1年の時にパソコンをかけて猛勉強したときに勉強するコツを覚えられた。

 今回、息子が、今回の事件をきっかけに勉強するコツを覚えてくれて、結果自信になってくれたらいいなと思っています。

 物を賭けての勉強。色々と意見があるところだとは思いますが、僕は今のところ、息子のやる気を見て、「マイナスの事件」をプラスに変えられることになったらいいなと思っています。

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)、長編小説『僕の種がない』(幻冬舎)が好評発売中。漫画原作も多数で、ラブホラー漫画「お化けと風鈴」は、毎週金曜更新で自身のインスタグラムで公開、またLINE漫画でも連載中。「インフル怨サー。 ~顔を焼かれた私が復讐を誓った日~」は各種主要電子書店で販売中。コミック「ティラノ部長」(マガジンマウス)が発売中。

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