野手の最注目はやはり佐々木麟太郎(花巻東・一塁手)だ。この春の練習試合で既に清宮幸太郎(早稲田実→日本ハム)が記録した歴代最多の高校通算111本塁打に並んだとも報じられており、ホームランを量産し続けている。内角高めの速いボールへの対応は課題と言われており、小さな故障が多いのは気がかりだが、それでもこれだけのホームランを打てるのはやはり並みの打者ではない。
練習を視察した東北地区の担当スカウトにその際の映像を見せてもらったが、大げさではなくメジャーリーガーのようなスイングと打球を見せていた。4月1日にはこの春新たに開場した「きたぎんボールパーク」のこけら落としで早稲田実と招待試合を行う予定だが、新球場での第1号も期待できそうだ。
佐々木と並ぶ野手ではセンバツでも活躍を見せている真鍋慧(広陵・一塁手)の名前が挙がるが、同じスラッガータイプの選手では明瀬諒介(鹿児島城西・一塁手)の評価も高い。1年秋から中軸を任されて九州大会でいきなりホームランを放つと、昨年秋の鹿児島県大会では準決勝で敗れたものの3試合連続ホームランを記録するなどその長打力を見せている。3月前半の練習試合には既に多くのスカウトが集結しているという。人気になりやすい右打者という点と、投手も務める肩の強さがあるというのも魅力だ。佐々木、真鍋の間を縫うように明瀬が浮上してくることも十分に考えられるだろう。
昨年も斉藤優汰(苫小牧中央→広島)、イヒネ・イツア(誉→ソフトバンク)などが春から評価を大きく上げ、上位指名でプロ入りしている。今年もここで挙げた以外の選手が急浮上してくることも期待したい。(文・西尾典文)
●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。