安倍政権下の放送法の「政治的公平性」をめぐる総務省の内部文書で、高市氏は自身についての記述に関して「捏造(ねつぞう)だ」「レク(説明)もなかった」と主張し、もし文書の内容が事実なら議員辞職も辞さないとの意向まで示した。

 その後、総務省は、内部文書は同省が作成したとし、レクも行われた可能性が高いとするなどの調査結果を22日にまとめた。国会での審議も続くなか、26日に奈良に行き、平木氏の応援演説をしている余裕は高市氏にはなかったのだろう。

 野党は、国会で連日のように高市氏を追及しており、27日の参院本会議でも高市氏の経済安全保障担当相の罷免(ひめん)を求めた。

 これに対し、岸田文雄首相は、「引き続き国会審議に真摯(しんし)に対応し、丁寧に説明してもらいたい」「罷免する理由はないと考えている」と答弁した。

 前出の自民党幹部は、

「現在の岸田内閣では、旧統一教会問題などで4人の閣僚が実質的に更迭されている。高市氏も、となれば5人目でしょう。支持率が芳しくない岸田首相は、絶対にこれ以上の更迭も辞任も避けたいのに、高市氏が一方的に自分の進退にまで踏み込んでしまい、混乱させている」

 と話す。

 奈良県知事選についても、

「維新に取られるわけにはいかないので、党としては高市氏には地元に戻り、当選のために頑張ってほしいところでしょう。ただ、国会審議があるのと、知事選で県連会長としての進退を問われたりした際に何を言い出すかわからないという心配もあり、26日の“お国入り”も官邸からストップがかかったようです。岸田首相は、今は統一地方選と衆参の補選を抱えていて、静観するしかないので頭が痛いところでしょう」

 と語った。

 そうした自民党の“失策”を遠くから見ている維新の幹部は、

「うちの山下と平木氏が競り合う展開のなか、高市氏が国会でもめて、地元にも来ないというのは実にありがたい」

 とほくそ笑む。

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高市氏は敗れれば厳しい状況に