展覧会のメインビジュアルである「Circus」の原画の横には、制作過程を収めた映像も流れ、多くの人が立ち止まって原画と見比べていた。

 ヒグチさんの世界観はグッズにも徹底され、人気が高い。昨年は自身がプロデュースしたグッズや複製画などを販売するオンラインショップ「ボリス雑貨店」をオープン。今年1月には、東京都渋谷区神宮前に常設店舗も開いている。6年ぶりの画集「CIRCUS」は、限定版の「展覧会バージョン」も発売。通常版に載せた「卑怯な蝙蝠」に代わり、夢野久作の「きのこ会議」をビジュアルストーリーとして新たに描き下ろしている。

 ヒグチさんは言う。

「観にきてくださる方がいるから、描き続けられる。感謝しかありません」

(ライター・矢内裕子)

AERA 2019年3月4日号