nonnative他2社とみんなの電気によるプロジェクト「ファッション×エネルギー」は、2018年末に話題となったアパレルと電気会社の異色のコラボだ。電気もファッションのように選ぶ時代。エネルギーの多様化について、みんなの電気大石英司社長と、nonnativeデザイナー藤井隆行さんに話を聞いた。
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藤井隆行:一方で、「安い」というチョイスもあります。そうなると、ファストファッションに流れるのと同じ現象が起きてしまう。ソフトバンクが日本で初めてiPhoneを発売したとき、同社と契約した人がたくさんいました。これってすごくファッションだと思うんです。電気は触っちゃいけない、複雑なものに見えちゃうんですが、今は水もミネラルウォーターを選ぶ時代です。
大石英司:ファッション業界は電気に対する感度も高いんです。今回のコラボ3社以外にも、BEAMS(ビームス)やUNITED ARROWS(ユナイテッド アローズ)などは以前から、みんな電力の電気を購入いただいています。先ほど、みんな電力の電気が安い、と指摘いただきましたが、私たちは価格で勝負するつもりはありません。一番のこだわりは「顔の見える電力」です。この電気はどこの誰がつくったものですっていうプロデュースの仕方で電気を売りたいんです。ファッション界で先駆的に利用いただいていることは大きな自信になっています。異業種の人とも世界観でつながれるんだと。
藤井:ノンネイティブがコラボTシャツで打ち出した「ポジティブなエネルギー」というコンセプトは、再エネにプラスのイメージを付与する狙いがあります。太陽と海、空とともに前に進もうというイメージのイラストと、できるだけ角を取ったフォントのデザインで構成しました。
大石:「ポジティブエナジー」は私たちの思いを代弁してもらったと感じています。私が起業したきっかけは、たまたま電車で前に座った女性が太陽電池付きのキーホルダーをバッグに下げていたのを見て、「ああ、こんな素敵な人がつくった電気だったら買うな」って感じたことだったんです。それって一部の人が独占していた富の分散化で、エネルギーがそのきっかけになる、まさにポジティブな状況が生まれることなんです。今回のコラボはツイッターですごい勢いで拡散されました。「電力の選択」が浸透する転換点になった、と考えています。