藤井:「富の分散」という意味では、ファッション界も1回壊れちゃったんです。11年の震災前、ファストファッションに押されて大手セレクトショップの価格帯がおかしくなってしまった。売れないと意味がない、品質が悪くてもユニクロに対抗しないといけないと。そっちに流れるのは思想がなくなってしまうことなので、まずいなって感じていました。ビームスやユナイテッドアローズもそうした経験を経て、電力のこともしっかり考えるスタイルを確立したのだと思います。
大石:さきほど藤井さんがおっしゃった「日本製にこだわる」というのと共通するかもしれませんが、顔の見える生活こそ、今求められているんじゃないかな、と思っているんです。食べ物もファッションや電気も生産者の顔を知りたい。私たちはそんな生活をどんどん進化させたいと思っています。
藤井:実は太陽光の自家発電を検討しています。うちは洋服店だけでなく、コーヒーショップや事務所、オンラインストアの倉庫もあります。電気を変えるだけでなく自ら供給できるようになれば、まさに「ポジティブエナジー」になります。中学1年の長女はSNSのフォロワーが300人いますが、どんな投稿にも必ず100人の「いいね!」がつきます。これって強くないですか? 最初は少数でも確実に知ってもらうのが大事。僕らみたいなちっちゃいのがいっぱい集まれば結構強いかなって。
(編集部・渡辺豪)
※AERA 2019年1月21号より抜粋