「米国球界の好景気もあり、NPB球団が太刀打ちできない破格の好条件が用意される。仮に契約で縛っても選手はモチベーションが上がらずマイナスに作用することもある。最終的には本人の気持ち次第なので、ビジネスと割り切ることも必要なのではないか」(MLBアジア地区担当スカウト)

 順調にいっても、現在26歳の岡本が海外FA権を取得するのは2027年のシーズン後。ポスティングを使わずにメジャーに挑戦するとなると31歳となるシーズンが最も早いタイミングとなる。また、20歳の高橋に関しては海外FAの取得は早くても2031年以降とずいぶん先になる。プレイヤーとして“旬”を逃さずメジャーでプレーするのであれば、ポスティングでの移籍がどうしても必要とも考えられる。

「WBCで大谷翔平(エンゼルス)、ダルビッシュ有(パドレス)の存在感は飛び抜けていた。最高峰の舞台でのプレーは、人生すら左右することを体現している。可能ならばできるだけ多くの選手に海を渡って欲しい。長い目で見て日本野球界の底上げにも繋がるはず」(大手マネージメント会社関係者)

 WBCが終わった後の会見で岡本は「野球ってこんなに面白いんだなって思った」と語るなど、米国での戦いでメジャー移籍への憧れは強まったはずだ。当然スターたちのプレーがNPBで見られなくなるのは寂しいが、選手たちにとってはたった一度の野球人生。各球団に様々な事情もあるが、“ベストなタイミング”でより多くの日本人選手がメジャーで戦ってほしいとも思う。

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