NHK杯のショートプログラムで演技する宇野昌磨。GPファイナルは、12月6~9日、カナダ・バンクーバーで開かれる (c)朝日新聞社
NHK杯のショートプログラムで演技する宇野昌磨。GPファイナルは、12月6~9日、カナダ・バンクーバーで開かれる (c)朝日新聞社
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 フィギュアスケート男子の宇野昌磨がNHK杯で優勝。GPファイナルへの出場を決めた。好調に見えるが、どうしても決まらないジャンプがある。試行錯誤のなかで“何か”をつかんだ。

【グランプリシリーズの開幕を前にインタビューに答えた宇野昌磨さんはこちら】

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 NHK杯初優勝を飾り、グランプリ(GP)ファイナル一番乗りを決めた宇野昌磨(20)。今季は全戦全勝で、ハイペースでシーズン前半を進んできた。

 しかし輝かしいタイトルの裏で、悩みを抱えていた。それは「試合では体が動きすぎてしまい、ジャンプをミスする」という、異例の事態だ。

「練習では4回転トウループはほぼ完璧に近く跳べているんです。でも試合になると、体が動きすぎて、4回転が回転しすぎてしまって降りられない。悪いイメージではないかもしれませんが、失敗の原因になっている以上、悪い要因の一つです」

 試合になるとジャンプの感覚が変わるというのは、宇野にとってここ数年の課題ではある。しかし今季は特に顕著で、ショートプログラム(SP)で「4回転トウループ-3回転トウループ」の成功はまだない。

 動きすぎるとなぜミスをするか。もともと4回転トウループは空中での回転角度が「360度×4」より90度ほど少ない。一方、4回転フリップは完全に「360度×4」回る。だからこそ、多くの男子は4回転トウループを最初に跳べるようになるし、4回転フリップは宇野が世界初の成功者で、今でも数人しか跳べない難易度の高いジャンプだ。

 今季の宇野は、全力でジャンプすると「360度×4」きっちり回るため、4回転フリップは絶好調で、SPでの成功率は100%だ。

 一方SPの4回転トウループ-3回転トウループの連続ジャンプは、ロンバルディア杯(イタリア)でもスケートカナダでも不成功。NHK杯に向けて改めて原因を追究してきた。

「原因は気持ちだと思います。やはり試合になると、興奮したり集中したりして力が入りすぎてしまう」

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