ヒップホップ・アクティビストのZeebraさんが「AERA」で連載する「多彩な野菜」をお届けします。1997年のソロデビューからトップとしてシーンを牽引し続け、ジャンルや世代を超えて多くの支持を得ているZeebraさん。旬の野菜を切り口に、友人や家族との交流、音楽作りなど様々なエピソードを語ります。
* * *
白ネギって、料理の仕方で大きく味が変わりますよね。よくある、大きめに切って煮たり焼いたりしたネギは、どちらかというと苦手です。外側の繊維が硬くて、内側の軟らかさとの一体感がない。かむと、中だけ押されてにゅるっと出てきてしまう。あれがなんだかめんどくさい。2~3センチの、コロッと食べられるサイズならうれしいかな。
なので、僕は生のほうが好きです。普段は声高に「ネギが好きだ」って宣言するほど意識していないのに、おそばとか冷ややっこを食べるときにネギがないと絶対にイヤ。ネギの刺激があって、初めて味が決まるような気がする。そこにいて当然の存在なんだけど、いなきゃ成立しないんですよね。
味、食感、すべての問題を完全に克服しているのが白髪ネギ。硬い繊維も軟らかい繊維も、1本ずつまとまってシャキシャキしている。繊維にそってフォークで裂くだけで作れるところも簡単で楽しい。これぞ白ネギの神髄だって思います。そういう「ここがこいつのいいところなんだよ」って部分、人間にもありますよね。
※AERA 2018年11月5日号