東京都北区に住む専業主婦の女性(46)は、1歳8カ月の息子にできることは何でもしてあげたい、と話す。

 生後9カ月の頃に幼児教室へ入会した。1回50分、月3、4回で月謝は1万5千円。そのほか、産院で同じ時期に生まれた子がスイミングを始めたと聞き、うちもそのうち、と考えている。英語についても情報を集めているところだ。

「みんながやっているのなら、うちの子にもやらせたい。その上で、ほかの子がやっていないことも、と思うんです」

 もう少ししたら、運動発達にいいと言われるトランポリンや、男の子だからこそバレエをさせようかとも考えている。

「都会にいると、何でもできる分、親次第という感じがしてしんどい。欲しくて欲しくて不妊治療をしてようやく授かった息子なのに、しんどいと思ってしまう自分も嫌になる」

 前出の大豆生田教授は、親の不安や焦燥感を煽り立てる情報があふれる今、懸念することがあるという。

「子どもはほかの子と比較され、できた、できない、の評価ばかりにさらされ続けると、自分を認める気持ちが育たず、自己肯定感が低くなります」

 実際、日本の子どもたちの自己肯定感は低い。国立青少年教育振興機構が日本、米国、中国、韓国の高校生を対象に行った2015年度の調査では、「自分はダメな人間だと思うことがある」と回答した割合は、日本が72.5%、中国56.4%、米国45.1%、韓国35.2%で、日本の自己肯定感が最も低かった。(編集部・深澤友紀)

AERA 2018年10月29日号より抜粋

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