右も左も「働き方改革」。たいした効果も感じられず、そろそろ「改革疲れ」している人も多いだろう。ガラリと視点を転じて、「幸せに働く」ことを考えてみれば、あなたも職場も変わるかも……。
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何かとお騒がせなあの人が、8月初め、SNSでつぶやいた。
<お前はこの国をどうしたいの? 日曜日の朝、ツイッター上で唐突に聞かれたので、考えをまとめてみました。結論、「仕事を楽しむ労働者を増やし、労働生産性の高い国にしたい」>
発言の主はファッション通販サイト「ZOZO TOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイの前澤友作社長。「働き方改革」が花盛りのいま、多くの企業が「ノー残業デー」や「残業の事前承認」など時間管理にいそしむ中、「楽しく働いて生産性アップ」というのがいかにも前澤流だ。
「働く人の幸せこそが企業に繁栄をもたらす」との考え方は世界的な潮流になっている。端緒を開いたのはグーグルをはじめとする米シリコンバレーの企業。社員の幸福度向上に責任を持つCHO=チーフハピネスオフィサーを置く企業も増えている。
アエラでは、「幸せファースト」の経営で、組織を強くしながら、ビジネスも伸ばしている企業40社に取材。各社に理念やルールを聞いた。その中には、あなたの職場を幸せにするヒントもあるはずだ。
今年5月、スタートトゥデイは創業20周年を迎えた。2019年3月期の連結純利益(予想)は280億円。10年前の22倍という高成長だ。根本に据えてきたのは、売り上げを伸ばすことより社員が楽しく働ける会社であることが大事、という理念だ。
楽しく働きたいから、「好きなこと」を「好きな人」とやる。社内で競わせることでモチベーションを上げようとする企業が多い中、「社内の無用な競争は幸福度を下げる」としてボーナスも均等に分けてきた。
幸福度向上の施策を担当するのは人自本部。仲間のことを人ごとではなく自分ごとのようにとらえるために同社では「人事」ではなく「人自」と表現する。