ベンチではチームを鼓舞し、出場すればチームを救う活躍をみせる本田圭佑。誰よりも結果にこだわる男が「結果至上主義はダメ」と語る理由は──。
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「やっぱり持ってますね。彼はW杯に愛された男じゃないですか」
DF長友佑都は、2-2のドローで終えたロシアW杯第2戦のセネガル戦のあと、同点ゴールを挙げたMF本田圭佑をそう称えた。
開始11分にセネガルに先制され、34分にMF乾貴士のゴールで追いつくも、71分に再びリードされる苦しい展開。一時は敗戦も覚悟したが、その窮地を救ったのが本田だった。
72分、MF香川真司との交代でピッチに入った本田は、交代の準備をしているなかで、日本の失点シーンを見ることになった。かつての絶対エースも、今大会は初戦のコロンビア戦に続きベンチスタート。だが、出場から6分後の78分にゴール前で左足を合わせ、貴重な同点弾を挙げた。
乾が左サイドから中央に折り返すと、FW岡崎慎司が相手GKと重なるように潰れ、ボールが本田のところに流れてきた。ゴール前には2人のDF。決して簡単なシュートではなかったが、本田は冷静にボールをネットに沈めた。やはり、この男は何かを持っている。
「欲を言えば1-1のまま僕が出て、勝ち点3を取りにいけたらという思いはありました。ただ、こういう流れで出て、結果を出せたことはうれしく思っています」
●「時の人」生むアシスト
振り返れば初戦のコロンビア戦でもFW大迫勇也の決勝弾をアシストしたのは途中出場した本田だった。
セネガル戦同様、70分台にピッチに入ると、その3分後に左コーナーキックをピタリと大迫の頭に合わせ、これには大迫も「練習通りに、いい質のボールを入れてくれた」と感謝。第1戦のコロンビア戦では決勝ゴールを挙げた大迫が「ハンパないって」というフレーズとともに一躍“時の人”となり、第2戦のセネガル戦では同点ゴールを挙げただけでなく、左サイドからのチャンスメイクが光った乾がヒーローとして脚光を浴びた。だが、1次リーグを通じてみれば、やはり本田の勝負強さが光ったともいえる。
過去2大会、日本代表という視点から見れば、W杯は彼のためにあったともいえる。2010年南アフリカ大会初戦のカメルーン戦で決勝弾となるW杯初ゴールを挙げた本田は、第3戦のデンマーク戦でも直接FKを含む1ゴール1アシストの活躍で日本のベスト16進出に貢献。失意に終わった14年ブラジル大会でも、初戦のコートジボワール戦でチーム唯一のゴールを挙げると、第3戦のコロンビア戦でも岡崎のゴールをアシストするなど日本の得点の多くは本田を経由して生まれてきた。