東京五輪が2年後に迫る中、自らの能力を高めるために海外に渡り、それぞれの場で活躍をみせる日本人選手たち。日本ではマイナーとされる分野でも例外ではない。中でも注目すべきは女性アスリートだ。ホッケーは及川栞選手、ハンドボールは池原綾香選手に期待がかかるが、女子サッカーには反対に海外帰りの有力選手がいる。
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日本から欧州を目指す選手がいる一方で、欧州から日本に戻ってきたのが今季サッカーなでしこリーグ2部のニッパツ横浜FCシーガルズでプレーするFW大滝麻未(28)である。
大滝は12年に早稲田大学を卒業すると、フランスのオリンピック・リヨンへ加入し、UEFA女子チャンピオンズリーグ制覇を経験。同年のロンドン五輪は、銀メダルを獲得したサッカー女子日本代表「なでしこジャパン」のバックアップメンバーとしてチームに帯同した。その後は、浦和レッズレディース、EAギャンガンを経て25歳の時に一度は現役引退。だが、国際サッカー連盟(FIFA)が運営する大学院「FIFAマスター」を卒業後の17年、一転して東京五輪を目指すと現役復帰を決めた。
大滝は再びユニフォームを着た理由についてこう話す。
「将来的にやりたいことがボンヤリとですが見えてきました。ただ、FIFAマスターで今までと変わった形でサッカーに触れたことで、まだ自分がプレーできるなら東京五輪を目指してみようと思ったんです!」
FIFAマスターに入学したきっかけは、将来的に女子サッカーの発展に貢献したかったから。今後は将来の起業も視野に入れ、サッカーを続けながらその準備をしたいと話す。
「女子サッカーは男子と比べ歴史が浅く、環境整備も遅れています。なでしこリーグの選手の多くはサッカーでお金をもらっているのではなく、スポンサー企業で働くことなどで生計を立てています。サッカー選手と言いながら、サッカーをいくら頑張っても1円にもならない」