投手では2018年の吉田輝星(金足農→日本ハム1位)、2020年の高橋宏斗(中京大中京→中日1位)と山下舜平大(福岡大大濠→オリックス1位)も最終学年に大きく化けた選手だ。吉田は下級生の頃はまとまりのある好投手という印象だったが、最終学年で大きくスピードアップ。それでも甲子園大会前は大学進学というのがスカウト陣での評判だった。しかし甲子園では初戦から150キロ台のスピードを連発し、“カナノウフィーバー”を演じると、プロ側の評価も一気に高くなり、最終的には高校からのプロ入りへと転じている。夏の甲子園を盛り上げたという意味では、近年でもナンバーワンと言えるだろう。

 高橋は2年秋にエースとして明治神宮大会で優勝投手となっているものの、当時は目玉というほどの高評価ではなく、本人が大学進学を希望していたこともあって4年後の上位候補というのが大方の見方だった。最終学年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で春夏の甲子園大会を含む公式戦が中止となり、春先は全体練習もできない状況だったが、その期間にも地道にトレーニングを重ねると、6月の愛工大名電との練習試合では150キロ台のストレートを連発。一気に高校生の目玉となり、大学入試も不合格となったことから地元中日が1位指名に踏み切った。プロ入り後も順調に成長を遂げており、同世代のトップランナーと言える存在だ。

 一方の山下も下級生の頃から好投手だったものの、最終学年で体格が見違えるほど大きくなり、スピードも大幅にアップ。8月に行われたプロ志望高校生合同練習会でも150キロをマークするなど注目を集め、オリックスが外れ1位で指名している。2人ともコロナ禍という難しい状況でもレベルアップを果たしたことが、プロでの成長に繋がっている面もありそうだ。

 野手は投手に比べると上位指名まで一気に浮上してくる例は多くないが、そんな中でも代表例と言えるのがオコエ瑠偉(関東一→2015年楽天1位)と中村奨成(広陵→2017年広島1位)の2人になるだろう。オコエは下級生の頃から素材の良さは光っていたが、攻守ともにプレーの安定感がなく、3年春までは上位候補とは言われていなかった。しかし3年夏に自身としては初の甲子園出場を果たすと、守備、走塁、打撃で圧倒的なパフォーマンスを発揮。一躍注目の1人となり、外れ1位で楽天に指名されることとなった。

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今年も驚きの成長を見せる選手が出てくる?