NHKの特集で話題となった「アラフォー・クライシス」。“不遇の世代”と呼ばれるアラフォー世代が抱える問題は、まさに現代日本が抱える闇に他ならない……。ひきこもりの高齢化が進む中、問題になるのは親亡き後だ。きょうだいがひきこもりの場合、その面倒をみなければならないケースも考えられる。自分自身が生きていくだけでもやっと、というアラフォー世代が多い中、解決策はあるのか? 朝日新書『きょうだいリスク』から問題を考える。
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1998年から不登校やひきこもり状態の人たちの社会参加を支援してきた藤原宏美さんは、現在「NPO法人不登校情報センター」(東京都江戸川区)で訪問支援部門「トカネット」代表を務める。その藤原さんは、長らくひきこもりの人の支援事業を行ってきた。藤原さんが指摘するのは、面倒をみる「親の老い」だ。ここにきて、ひきこもりの子が40代以降ということも珍しくなく、支える親の側が70代前後と高齢化している。
藤原さんのところでは、ひきこもりの人の支援は、訪問サポーターの「メンタルフレンド」が核になって行っている。支え手である彼らは大学生や社会人であり、不登校の子どもやひきこもり状態の人たちに寄り添いたいと活動している。そして藤原さんも、その「メンタルフレンド」の一人として支援を続けてきた。
中には20年間ひきこもりだったという男性もいた。メンタルフレンドの介在によって、一人ひとりが社会へ出られるようになればと藤原さんらは願ってきた。だが、出てはまたひきこもり、それを何回も繰り返し、気づけば長い年月が経っていたというケースもある。
ひきこもりの人たちもその親たちも高年齢化していくなか、ひきこもりの人のきょうだいも、親亡き後にどう支援すべきかと、模索し始めた。
「不登校情報センター」では、親の対応学習会として「大人の引きこもりを考える教室」を毎月開催している。最近は、高齢化する親にまじって、当事者のきょうだいが、将来の対応について相談に訪れることもある。あるとき、ひきこもる妹を心配して、母親といっしょに相談に訪れた兄もいた。