サーキュレーションで活躍するある30代のICも、自動車メーカーの生産管理を経て食品工場の事業再生、大手流通の在庫管理、アパレル企業のEC事業と、めまぐるしい変化を経験してきた。現在は、同時に8社のプロジェクトに携わり、そのうちのいくつかでは改善プロジェクトのリーダーを務めている。
徳谷さんは「変化創造力」がキーワードと語る。
「変化の機会があれば受け入れるだけでなく、自ら変化を創り出してほしい。今まで付き合ってきた人とは異なる人たちと交流すること、得意分野ではない領域の仕事にあえて手を挙げてチャレンジすることが大事」
徳谷さんによると、「変化」への課題意識が強い企業では、若手のうちから「修羅場」経験を積ませるために、あえて大変なプロジェクトに取り組ませているという。また、次世代リーダーの育成を主な目的とし、買収先の立て直しを若手社員に任せている企業もあるそうだ。
「修羅場に身を置くと、自分たちがどこを目指すのかを考え抜き、志が醸成されます。その経験を通じ、自らビジョンを描く力を養うことを狙っているのです」(徳谷さん)
そして、3人の専門家が口を揃えて「次世代リーダーに欠かせない」とする要素がある。
「自社だけにとどまらず、社会全体の課題を見据える目。社会にとって何が必要かを考え、そこから割り算・引き算をしていって自社や個人のミッションに落とし込んでいけることが求められているのです」
(ライター・青木典子)
※AERA 2018年5月21日号より抜粋