センバツ出場を逃したチームではいずれもプロ注目の本格派投手を擁する滝川二(兵庫)、享栄(愛知)の注目度が高い。滝川二の坂井陽翔(3年)はコンスタントに140キロ台中盤をマークするストレートと打者から「消える」と言われるほど鋭く変化する縦のスライダーが武器の大型右腕。昨年秋から評判だったが、春以降の練習試合では大阪桐蔭、履正社(大阪)を完璧に抑え込んでさらに評価を上げている。またこの春の県大会でも坂井を温存して他の投手を育てようとしており、先を見据えた起用も目立つ。兵庫県内では報徳学園が大きな壁となるが、秋も接戦を演じているだけに、夏にリベンジを果たす可能性もありそうだ。

 享栄の東松快征(3年)は最速150キロを超える本格派サウスポー。秋まではスピードはありながらも少し不安定な投球が目立ったが、この春は制球力も格段にアップしている。東松以外の投手と野手陣も力があり、チームとしての総合力も高い。滝川二と同じく愛知県内にはセンバツ出場の東邦、昨年夏の優勝校である愛工大名電などライバルも強力だが、東松を良い状態でぶつけることができれば1995年以来となる夏の甲子園出場も見えてくるだろう。

 他では惜しくもセンバツ出場を逃した横浜(神奈川)、埼玉県内で長年しのぎを削っている浦和学院と花咲徳栄、春の九州大会でここまで圧倒的な強さを見せている福岡大大濠(福岡)なども有力校となる。そんな中で不気味な存在になりそうなのが明豊(大分)だ。昨年秋の九州大会では沖縄尚学(沖縄)に敗れてセンバツ出場を逃し、この春も大分県大会の準決勝で大分舞鶴に敗れて九州大会にも出場できなかったが、投手も野手も昨年夏の甲子園を経験したメンバーが残っており、個々の能力は高い。また打撃のチームという印象が強いが、守備もしっかり鍛えられているのも強みである。ここ数年甲子園でもコンスタントに勝ち進んでいるだけに、秋、春の悔しさを生かして夏に大きくジャンプアップする可能性もありそうだ。

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上位進出の高校に新顔は現れるか?