――なのに、なぜ女子アナに。

有働:国際部の記者になりたくてNHKを受けたんですが、アナウンサーとして採用されたと聞いたときは、「やっぱ私、可愛かったんかな」と。でも、初任地の大阪放送局で「なんであんな不細工な女性アナウンサーが出てんねん」という電話を自分で受けました(笑)。「おはよう日本」は小谷真生子さん、草野満代さんの後で、「正統派でやってきたけど、民放さんが(視聴率)上げてきているから今回は変化球でいく」と言われました。普通にやっても女性的な品質を保てないなら、人と違う視点を見つけるとか、表現方法を変えるとか、頑張って取材するとか、別のところでカバーしなければ、というのは刷り込まれています。哀しいことに……。

――大阪時代から有働さんを見てますが、当時から女子アナの枠をはみ出て面白かった。

有働:目立とうとは思わなかったけれど、面白くないのは嫌だなとは思っていました。入局したときから、先輩に視聴者のために放送しているんだということを忘れるなと徹底的に教えられました。中継でも自分が伝えたい構成を書いた上で、それを一回壊して、視聴者が面白いと思うかという視点で作り直す。でも、やっぱり受け取る側の視点でものを作るのは難しい。「あさイチ」が成功しているのは、そこだと思います。「いい取材ができた。どこも書いていない」といってネタを決めるのではなく、それって40代の主婦が知りたいのかなと考え直す。子育て介護で悩んでいる女性スタッフも多いので、そういう個人の意見も丁寧に拾います。

●当たるほど不安になる

――有働さん、努力家ですよね。

有働:顔がなかったですからね。

――でも「紅白歌合戦」やオリンピックの司会で、早くからエースと脚光を浴びていました。

有働:それでお給料増えるわけでもなく、むしろ不安でした。目立ちすぎて失敗して、「ほらみろ」となるんじゃないか。当たれば当たるほど不安になるので勉強する。それでも不安は解消されない。でも、いざとなると、どうしたら視聴率を上げられるかにシフトするんです。「紅白」の司会のときも、自分のことを考えれば質素な服でカンペを読んだほうがいい。だけど、視聴者が喜んでくれるなら、私はどう思われてもいいわ(笑)、と大胆なドレスを用意していただきました。

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