――でも、週刊誌にさんざん書かれて、有働さん大丈夫?と心を痛めています。最初は有働さんの「脇汗」がみっともないという記事でした。でも、その後、脇汗の特集を組みましたね。
有働:ひどい番組ですよね。あれで縁遠くなった(笑)。あんなに反響があるとは思わなくて。「やっていい?」とディレクターに聞かれたとき、「ここまで書かれるならやります」と。
――もともとそういうことを恥ずかしく思わないタイプですか。
有働:いえ、セックスという言葉も含めて、そういうことを口にすると男性に嫌われると思っている世代です。バブル世代ですから自立して働くという意識は強いけれど、男の人に気に入られてなんぼという価値観もある。30代半ばまでは、下ネタ話もわからないふりをしていました。少なくとも自分のことは言わなかった。だけど40歳過ぎた今、毎日3千ぐらい来るアンケートに励まされるんです。「なーんだ、みんなそうなんだ。だったらいいだろう」と。
――閉経特集のときには、膣トレーニングにも挑戦して。
有働:尿漏れ防止のためにも膣トレーニングマシンに乗るという企画。表現には気をつけなきゃと、「ああ、なるほど。ピクピクする感じですかね」としか言わなかったのに、「ああ~と悶えた」と書かれました。「ああ」は納得の「ああ」だったのに。
――「あさイチ」で有働さんの本質が花開いた感じです。
有働:特に好かれようとも思わず、自分に枠を作らなくなったので本当に楽になったし、覚悟ができました。それまでの3年間、ニューヨークのアメリカ総局にいたのですが、向こうのジャーナリストは自分で調べて報道して、全部の責任を自分で引き受ける。それまでの仕事は一生懸命はやっていたけど、そこまでの覚悟を持ってやりきれてなかったと思い知ったんです。定年を考えればそう長くは現場にいられないのに、視聴者にも嫌われないようにして、局内的にもうまくやり、誰がやっても一緒みたいには、私はやる必要はないなって考えました。