日本の競馬ファンが海外競馬と聞いて真っ先に連想するのは、おそらく凱旋門賞をはじめとした欧州競馬だろう。次いでブリーダーズカップ開催やケンタッキーダービーで知られる米国競馬、さらには日本馬の活躍が顕著な香港競馬が続くだろうか。
これらに比べると、オーストラリアとニュージーランドのオセアニア競馬はやや地味な印象だ。かつてはデルタブルースが豪州最大のG1メルボルンカップを制し、近年でもリスグラシューがG1コックスプレートを快勝。この春にはG1クイーンエリザベスステークスにユニコーンライオン(5着)、G1オールエイジドステークスにはホウオウアマゾン(7着)が挑戦してるが、検疫の厳しさなどから有力馬が毎年のように遠征する状況にないのも影響しているかもしれない。
だが実は現在、オセアニアの競馬界では日本ゆかりの種牡馬たちがどんどんと評価を高めているのだ。
【豪州ではモーリスがトップ種牡馬の仲間入り】
海外競馬に詳しい方ならば、オーストラリアでのモーリスの大成功はご存じだろう。現役時代は国内でマイルチャンピオンシップや天皇賞(秋)を制し、香港マイルや香港カップなどの海外G1も勝ったモーリスはシャトル種牡馬としてオーストラリアでも供用。初年度産駒からヴィクトリアダービーとオーストラリアンギニー、オーストラリアンダービーを史上初めて3連勝したヒトツを送り出してみせた。
さらには豪G1ドゥームベン10000をマズが制覇。他にもG2アリスタークラークステークスを勝ったバンクモールなどコンスタントに活躍馬を出しており、豪州のトップ種牡馬の仲間入りを果たした感もある。
2015年に豪G1ジョージライダーステークスを制したリアルインパクトもシャトル種牡馬としてオーストラリアへ。豪G2ヴィクトリーステークスを勝ったカウントデルビーを出したほか、今季の3歳世代にはG1豪ダービー3着のスイズロがいる。同馬は5月13日のG1サウスオーストラリアンダービーに出走予定なので覚えておいてほしい。