理由はあまりにも和食になじみ、「体にいい」と当然のように受け入れられて、健康効果の研究に目が向かなかったからだとか。それでも最近は同社も研究に注力し、17年には女性に嬉しい新たな事実を発表した。麹でできた甘酒による「美肌作用」だ。
40~64歳の女性に毎日甘酒を8週間飲んでもらったところ、肌の水分量が上がり、さらに「肌バリア機能」が強化された。要は、皮膚の水分を逃しにくい状態になるというのだ。
「甘酒市場もブーム前と比べ6倍近くに伸び、16年には販売金額で麹由来の甘酒が酒粕由来の甘酒を抜くなど勢いもあります。発酵食品の良さも今後見直され、もっと浸透するのでは」
と尾田さんは期待する。
前出の北本教授も、
「実はヨーグルトにも負けないくらいポテンシャルがある。もっと研究が進めば『和食がなぜ体にいいか』を科学的に立証もできます」
と将来性に太鼓判を押す。
けなげに日本の食卓を支え続ける麹菌。主張しすぎない奥ゆかしさが日本っぽいが、価値が見直されて「メジャー菌」になる日も近いかも。(編集部・市岡ひかり)
※AERA 2017年1月29日号