「銀行に行くのもいいかなと思いました。昔と比べて世の中全体で学歴信仰が薄れている中で、唯一、いまも『東大』という学歴が有利に働くのが官僚と銀行の世界ですから。メガバンクでは最初の配属先も、東大法学部出身だとエリート支店と呼ばれる店になるなど何かと優遇される。結局、部長以上に出世している人も東大法学部卒が多いですし」

 採用コンサルタントの谷出正直さんによれば、メガバンクに就職する学生と、ベンチャーに行く学生では全く志向性が異なる。メガバンクには安定性重視の学生が集まりがち。採用する側も銀行内のカルチャーになじみそうな学生を採ろうとする。

 しかし、銀行業自体が大転換を迫られているいま、採用すべきは銀行組織の中で順調に出世していく、そつのない学生とは異なるタイプの学生ではないのか。それができなければ銀行業自体の将来も危うくなる。谷出さんはそう指摘する。

 興味深いデータもある。ディスコが就活を控えた学生に、40ある業界の中から行きたい順に第5志望までを尋ねた調査で、「銀行」と答えた学生の割合を示したものだ。銀行志望者は10年卒の文系男子学生で40%を超えていたが、19年卒では30%程度に減少。学生全体でみても25%から18%近くにまで減っている。

 メガバンク3グループはここ2年連続で、新規採用数を減らしている。盤石だった銀行人気にも、変化が表れる気配がする。(編集部・石臥薫子)

AERA 2018年1月22日号より抜粋