昨年9月の五輪最終予選で、北朝鮮にフィギュアスケート・ペアで出場枠をもたらしたリョム・テオク(右)とキム・ジュシク (c)朝日新聞社
昨年9月の五輪最終予選で、北朝鮮にフィギュアスケート・ペアで出場枠をもたらしたリョム・テオク(右)とキム・ジュシク (c)朝日新聞社
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 2月に韓国で開かれる平昌冬季五輪に、北朝鮮が参加することになった。ちょうど開会式1カ月前の9日、南北朝鮮の閣僚級協議が開かれ、五輪への北朝鮮代表団派遣で合意した共同報道文を採択。この場では、開会式での南北合同入場が提案されたほか、北朝鮮が選手団だけでなく応援団、芸術団、テコンドー模範演技団、記者団を派遣することで合意した。北朝鮮が韓国でのスポーツの国際総合大会に選手団を送るのは、2002年釜山アジア大会、03年大邱ユニバーシアード、14年仁川アジア大会に続き、4度目だ。

 この合意を受け、20日には、スイス・ローザンヌの国際オリンピック委員会(IOC)本部で、バッハIOC会長、平昌の大会組織委員会、北朝鮮、韓国のオリンピック委員会の代表者らが、細部を話し合うことになっている。

 選手団の規模はどのくらいなのか。今回は10人前後との予想がある。すでに出場権がある種目はフィギュアスケートのペア。昨年2月の札幌冬季アジア大会で銅メダルを獲得したリョム・テオク、キム・ジュシク組が、五輪最終予選で出場枠を獲得した。それ以外はIOCのワイルドカード(推薦枠)が検討されている。近年の国際大会への出場実績をみると、スピードスケート、スケートのショートトラック、ノルディックスキーの距離になりそうだ。

 緊迫する最中だが、合同入場は実現する見通し。最初に実現したのは00年シドニー五輪。08年に対北強硬政策をとる李明博政権が誕生して以降は途絶えたが、これまで釜山アジア大会、04年アテネ五輪を含め、07年の中国・長春での冬季アジア大会と、国際総合大会で9度も実現している。今回も国旗の代わりに、朝鮮半島をかたどった統一旗を南北の旗手が持って入場する姿が、11年ぶりに見られそうだ。

 ただ「南北統一チーム」の結成までは難しいかもしれない。1991年に千葉であった世界卓球選手権と、同年のサッカーの世界ユース選手権で実現したものの、それ以降はなし。平昌で可能性があるとすれば、韓国が開催国枠で出る女子アイスホッケー。だが実現すると韓国選手がその分外れる。当の韓国代表選手からは「数年かけて準備してきた夢の舞台。受け入れ難い」と反発の声も出ている。

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