引退するひとつの大きな要因は、僕自身の右膝が限界を感じたというところです。パフォーマンスをする上ではまだ全然限界を感じてはいないんですけど、競技レベルでパフォーマンスをするといったところで練習を積んでいく中で、特に今シーズン、レベルをとる上での技術的な部分で僕自身の努力ではどうしようもできないところにきてしまった。それ以上求めてやっていきたいのですが、そこに体がついていかないのが、まず一番大きな理由です。もうこれは、そこからこうもうちょっと頑張れるというか、そのことを払拭できずにこれで続けていっても、僕の成長といった部分ではやっていけないなと思った。それを村元哉中ちゃんに四大陸選手権の後にお伝えしました。
村元:四大陸選手権の後に大ちゃんから理由と今シーズンをもって引退するという話を聞いた時に、私の方も結成当初「まずは二年スタート」というところから始めていたので、大ちゃんから引退すると聞くのは覚悟していて、実際にお話を聞いた時にまったくびっくりしなくて、「あ、そっか」という感じ。「やっぱ、そうだよね」という。自分の中では驚きはなく。
私も、大ちゃんから聞いた時に、限界はまだ感じてはいないんですけど、これ以上に最高のパートナーはいないな、まだまだ大ちゃんといろんな作品を作りたいって思えたので、また新しいパートナーを探すという選択肢は全く出てこず。私も最後だなというのを決めての世界選手権、国別対抗戦で、本当に最高の演技、滑りができたので、両試合を終えてすごい今はうれしく思っています。自分の中ではやりきったのかな、と。ずっと目標にしていた「記憶に残る演技」がたぶんできたと思うので、すごい次のステージが楽しみです。
【身体との向き合い方】
――右膝のケガというのがありました。高橋さんはカップル結成後どのように向き合ってきたのか。村元さんはそばでどのように見られてきたのか。
高橋:結構アイスダンスって、特に下でしゃがんで膝をついたりとかすることがシングルの時よりも多くて、正直、右膝は下にしゃがむ時、立ち上がる時に力が抜けちゃったりするので、ほとんどこっちでしゃがむことができなくて、左足でしゃがむことが多かったんです。右膝をついて滑ったりするのは本当はよくないんですけど、それをするしかなくて。結果、全然こう練習できなかったり、痛みが出てできなかったり、一日練習できなくて、朝起きたら足が動かせないとかがあった。リフトの練習をしたいんだけど今日無理だな、とか。