「桂さんはOGから絶大な人気と信頼がある。卒業生と一緒に制服を作り上げたことで、反対はほとんど起きませんでした」
著名な卒業生が協力した成功事例ではあるが、刷新のハードルが高い伝統校にとってはヒントにもなりそうだ。
一方、多様化する価値観に柔軟に対応した学校もある。帰国子女が3分の2を占める、同じく都内の国際基督教大学(ICU)高校。制服は式典などの時以外は「自由着用」とし、普段は私服で過ごしてよいという独特のスタイルを続けている。
元々は制服着用が義務化されていたが、80年代後半から制服を着崩す生徒が出てきた。そこで着用するよう指導を強めるべきか教員の間で議論し、ファッションは趣味の領域で、強制しなくてもよいのではと判断した。
「『制服を着るので、今日は大事な日』と生徒に理解してもらいやすい。自由と規律のバランスが本校に合っているんです」
と、原かおり教頭。さらに、私服のほうが生徒の個性を把握しやすく、指導面のメリットもあるともいう。現在ほとんどの生徒が私服で過ごし、服装も床を傷つけるハイヒールや下駄以外ならOK。髪形も自由で、学校説明会でスピーチする生徒代表が金髪にしている、なんてこともあるという。
「髪を染めている=規律を乱すという概念はICUでは通用しません。自分らしくあり、互いの違いを受け入れられるのが、本校生徒の『らしさ』なんです」(原教頭)
(編集部・市岡ひかり)
※AERA 2017年11月6日号