■PTAはダメになってしまう
アピールを公表した17年春、宮下さんは習志野台中学校PTAの会長に就任した。
「P連の会長をしていたので、中学校のPTA会長もやるのは無理だと、ずっと断っていました。でも、PTA総会の1週間前まで会長が決まらなかった。それで引き受けました」
その瞬間、会長や役員のなり手がいなくて大変だと、P連の会長懇談会で聞かされてきた話が自分事になった。
「それまでP連会長として偉そうなことを言ってきましたが、結局、何もできないじゃないかと思われたくない、という気持ちもありました」
会長は宮下さんが引き受けたものの、副会長と会計は欠員で、いくら募集しても席は埋まらなかった。
会長を引き受けた以上、何とかこの状況を打破したいと、宮下さんは訴えた。
「みんな、今のPTAの活動に対して疑問を持っている。このままでは役員をやる人もいなくなってしまう。根本的に変えないとPTAはだめになってしまう、と話しました」
まず、会員の意識調査を行った。約400人から回答を得た。
「役員・委員を引き受けて大変だったこと」という質問には、116人が「時間のやりくり」、108人が「仕事との両立」を選んだ。いずれも回答者の3分の1を超えた。「有給を使い果たし、欠勤までした」という声もあった。
「現在のPTAの問題」をたずねたところ、160人ほどが「家庭事情(仕事や育児、介護など)の多様性に対応できていない」、140人ほどが「強制されてやっている感じがする」を挙げた。
また、「PTAが果たしている役割で重要だと思うもの」は、多い順に「子どもの安全・安心」「学校と保護者の連携」「地域・学校との連携」だった。
「この結果を踏まえて、来年度の活動をどうするか、本部や常任委員会で話し合いました。負担を軽減できるものはどんどん減らして、逆に子どもの安全・安心とか、絶対にやらなければならないことは強化していこう、と」