■お母さんが敵に

 宮下さんがPTA改革の一丁目一番地に掲げたのが「ポイント制」の廃止だった。これは、役員や委員を務めると定められたポイントが得られる仕組みで、規定のポイントがたまると役員や委員を免除される。

「うちの学校の場合、2年以上、本部役員をやったら、弟や妹が入学した場合でも役員をやらなくてもいい、というポイント制がありました。でも、この制度はPTA全体を歪めてしまい、活動を委縮させていた」

 それはいったいどういうことなのか。

「そもそも、なぜポイント制が存在するかというと、PTA活動を無理やりやらせるためなんです。そのなかで自分から進んで、PTAをやりたいですと手を挙げると、ママ友から『あの人、変わっているよね』って言われる。誰だって、そういうふうに言われたくないじゃないですか。だから、ほぼ誰も手を挙げない」

 先のアンケートでは、「PTA活動に関わること、役員・委員を引き受けること」に対して、「積極的に関わっていきたい」と回答したのは9人(3%)にとどまったものの、ほぼ半分の179人が「場合によっては関わってよい」を選んだ。

「つまり、半数の人はPTA活動に関心があるし、やってみたいと思っていることが確認できた。ところが、ポイント制があることで、そういう人たちが進んで手を挙げられない雰囲気になっていた」

 ところが、ポイント制の廃止を提案した瞬間、「ほぼすべてのお母さんが敵になりました」。

「それを口にしたら、孤立することは以前から感じていました。お母さんたちはポイント制にすがってきましたから」

 ポイント制がなくなれば、これまでの苦労が無駄になってしまう。抵抗は激しかった。宮下さんはポイント制がいかにPTAの健全な活動を妨げているか、懸命に説得した。

「それで、本部の中では、わかりました、となりました。次に常任委員会を通すのがものすごく大変だった」

 最終的にポイント制をなくしたほか、委員会もすべて廃止した。

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