■PTAが必要な理由
宮下さんがPTAの改革を始めたきっかけは「PTA不要論」だった。
2016年、船橋市PTA連合会(P連)の会長を務めていた宮下さんは、市議から突き上げられた。
「PTAは任意加入団体なのに強制的な加入が行われているとか、会長や役員のなり手がいないとか、PTAのさまざまな問題についてどう考えているのか問われました。あのころ、PTAっていらないんじゃないの、という『PTA不要論』がすごく盛り上がっていた」
社会教育法第12条は、地方公共団体がPTAなどの社会教育関係団体の事業に干渉を加えてはならないと定めている。
「なので、議員がP連の活動に立ち入ってくることにすごく反感を覚えました。ならば、P連としての考えをきちんと出そう、ということで、『2017アピール』を公表し、定期総会で採択されました」
<PTAは必要です。私たちは、PTA活動をより良い形で進化させていくために、様々な意見と真摯に向き合い、自由で開かれた組織として、活動の目的と重要性について広く理解を求め、公正な運営を行わなければなりません>(「2017アピール」から)
そもそも、なぜPTAが必要なのか?
「子どもたちの安心・安全を守るのはPTAのもっとも大切な活動です。校外での子どもたちの見守りは学校や行政がなかなかカバーできない部分ですから。その活動を主にPTAのお母さんたちが支えている」
船橋市では、子どもが誘拐や暴力、痴漢などの被害にあったとき、もしくはあいそうになったとき、逃げ込める場所の目印として民家や店舗、事業所に「ひまわり110番」プレートが貼られている。プレートはP連が配布し、それを各校のPTAが設置する。
「この活動もPTAのお母さんたちによって支えられています。毎年、一軒一軒まわって、きちんと活動に協力してもらえるか、確認したうえで『今年もまたお願いします』と、依頼している」