
【3】最後までやり遂げる
失敗と反省を繰り返しても、おのずと成功への道が開けるわけではない。打たれ強さや度胸は、成功経験が積み重なって初めて身につく。失敗の原因を1つずつ取り除き、新しい方法を試し続けた結果として成功の芽が出たという経験と達成感が経験値の基礎となる。
子どもの頃に友達とケンカして仲直りしたこと、クラスの学級委員選挙に何度も落選してやっと選ばれたこと、大学入試に失敗して浪人後に合格したこと、いくつも不採用の通知をもらった後で就職が決まったこと、多くの失敗を経てプロジェクトをようやく成功させたことなどが積み重なって、経験値がぐんとアップする。
私の講演会では、成功談より失敗談を話すようにしている。その失敗が自分の成長においてどんな役割を果たしたのか、どのように克服したのか、結果的にどんな成功につながったのかを説明するために必要なストーリーだから。成功だけを目指して近道を見つけようとする人に、その裏にある過程を教えたいという思いもある。
失敗はつらい。でも、成長のためには必要なステップだ。失敗を傷のままにしておいてはいけない。いちばん危険なのは、つらい記憶のせいで気持ちが萎縮してしまうことだから。傷ついたらその場ですぐに手当てをして、原因を分析し、傷つかない方法を研究して立ち上がろう。そんな経験が増えていけば、再挑戦への意欲が湧き、傷つくことへの怖さが和らいでいく。
「これぐらいで死にはしない」
こんな余裕を持てるようになる。

