キム・ウンジュさん(写真/本人提供)
キム・ウンジュさん(写真/本人提供)
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 49歳のときに米グーグルのNo.1デザイナーになった韓国出身の女性がいる。彼女の名は、キム・ウンジュさん。韓国で勤めていた会社を27歳で辞めて、渡米。簡単な英語のフレーズすらまともに話せない状態で始まったアメリカ生活だったが、その後はモトローラやクアルコムなどでキャリアを積んだあと、グーグルに入社。25年間で10回の転職経験をした彼女がグローバル企業で身につけたこととは――。著書『悩みの多い30歳へ。世界最高の人材たちと働きながら学んだ自分らしく成功する思考法』(CCCメディアハウス)から、ここでは「失敗を成長の糧にする3つの心がけ」を紹介する。

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 採用面接で「ホームランを打ったことがあるか」と質問されたことがある。私が面接官であれば、逆に失敗の経験を聞く。失敗なき成功を見たことがないし、失敗を重ねることによって成功の可能性が高まるという事実を経験から学んだからだ。

 失敗の経験が少ないというのは、言い換えれば、挑戦したことがないか、失敗しない範囲のみで挑戦したという意味でもある。新しいことに挑戦するときは、うまくいかない確率のほうが高い。他の人はうまくこなしていても、いざ自分でやってみると思うようにいかないときもある。重要なのは、経験値を高めていくことだ。失敗によって、その原因に関する知識が増え、同じ失敗を繰り返さない技術が身につき、次の挑戦に向けた打たれ強さや度胸も手に入る。

 たくさん失敗すれば自動的に経験値が上がるわけではない。プライドが傷つき、自分だけがダメな人間のように思えて、環境を恨んでしまったり、くやしさや苛立ちを感じたりすることもある。失敗を成長の糧にするには、次の3つを心がけよう。

【1】失敗の積み重ねが経験値になる

 人間は生まれてから歩き出すまでに数多くの失敗を重ねる。寝返りが成功するまでに数百回失敗し、ハイハイをしようとして数えきれないほど床に顔をぶつける。最初の一歩のために何度も転び、よちよち歩きがかけ足になるまで、膝にたくさんの絆創膏を貼ることになる。新生児がいきなりランニングに挑戦することはない。

 だから、若い頃からその年齢でできる間違いや失敗はたくさんしておいたほうがいい。朝寝坊して遅刻して、テストで悪い点数を取ったり、友人のことで悩んだり、学校で起こる理不尽な出来事に対抗してみたり。失敗の苦い経験を味わい、その後始末をして、恥ずかしさを感じたり、プライドを傷つけられたり。自分と同じように悩んでいる友達をサポートして、共同体の価値を経験するのも大切なことだ。

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