「完全に右傾化しているなと感じました。以前の塚本幼稚園では考えられませんでした」
「愛国教育」で森友学園が名をはせるまでには何があったのか。今回の不可解な“官有物払い下げ事件”の背景に浮かぶのは、籠池氏をめぐる豊富な保守人脈だ。
「全くの虚偽です」
3月13日の参院予算委員会。森友学園の訴訟への関与を問われた稲田朋美防衛相は語気を強めて反論した。それが翌14日には、自らの答弁の誤りを認め、謝罪するはめになった。
●籠池シンパ生んだ団体
稲田氏が「虚偽答弁」をしてまで打ち消そうとした籠池氏との接点は、浅からぬものがある。稲田氏が特別顧問を務める「関西防衛を支える会」(関防会)には、籠池氏も会員に名を連ねる。同会は98年に発足し、「きんでん」相談役だった高橋季義氏(06年に81歳で死去)が初代会長を務めた自衛隊の協力団体。高橋氏と親しく、阪急グループの経営者だった小林公平氏が5代目会長を務めていた大阪防衛協会(64年設立)と車の両輪のような組織だったという。
「防衛協会は大企業のオーナーや経営者のような人たちの集まりで、関防会は自衛隊の保護者会や一般の人たちの集まりでした。まだ国会議員のバッジをつける前の稲田氏も籠池氏も設立当初から関防会に顔を出していて、2人は高橋さんに可愛がられた。籠池氏がのし上がったのも、高橋会長が塚本幼稚園の教育を『ええなあ』と褒めてメンバーに宣伝してくれたから。稲田氏も、高橋会長が『頑張ってるな』ということでみんなが応援するようになりました」(関防会の創設時からの会員)
関防会や大阪防衛協会は、毎年4月の桜が満開のころに大阪護国神社(大阪市)で開かれる「同期の桜を歌う会」にも参加しており、11年からは籠池氏が実行委員長を務めている。塚本幼稚園の園児も参加し教育勅語を朗唱したり、愛国行進曲を歌ったりして会を盛り上げてきた。14年の「歌う会」の冒頭、ダークスーツに桜色のネクタイを合わせた籠池氏はこう挨拶した。