「我が国はいま、安倍内閣の下に再生を果たそうとしております。先の大戦で先人たちが活躍されたのは何か。我が国の領土領海国民を守っていくんだという気概があったということであります」

 続いて籠池氏は、日本の歴史と伝統を守っていく人材の育成のために「我々は小学校を起こすことにしました」と力を込め、さらにこう述べた。

「私の父親も特攻でした。家内の父親は陸軍士官学校を出ております」

 関防会を足掛かりに飛躍を遂げた籠池氏と稲田氏。籠池氏は小学校開校に向けて寄付金集めにも躍起になっていたという。

「関防会でも20万円寄付したはずだし、個々の会員にも『1口1万円で2口以上で銅板に名前を刻みます』と寄付を募っていたので、結構な人が寄付したんと違いますか。申請を取り下げたなら、それも返さないけません」(前出の関防会会員)

 籠池氏について関防会の事務局はこう答えた。

「籠池さんは一会員というだけで、会から寄付など一切していません。『同期の桜を歌う会』もお好きな方が参加されているだけで、関防会は何の関係もありません」

 森友学園をめぐるさまざまな疑惑や、いびつな教育内容が浮き彫りになるにつれ、籠池氏から距離をとろうとする政治家や団体が相次いでいる。だが、今回の問題の本質は、特異な教育に固執する籠池ファミリーによる奇譚のレベルにあるのではない。一学校法人にすぎない森友学園がなぜ、行政からさまざまな「優遇」や「便宜」を受けることができたのかを問わなければならないのだ。

 先に紹介したように、籠池夫妻が学園経営を引き継いだのは95年以降だ。これと軌を一にするように、日本社会全体の「右傾化」が進んでいく。

 保守系団体が立ち上げた「新しい歴史教科書をつくる会」は97年1月に発足。01年4月には「新しい歴史教科書」と「新しい公民教科書」が文部科学省の検定に合格する。第1次安倍政権の06年、「愛国心」を盛り込んだ改正教育基本法が成立、当時設置された教育再生会議は07年に、道徳の教科化を打ち出した。

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