アカウント名の由来は、酒好きで、仕事から帰宅後に飲みながらの料理が多いことから。基本的にお弁当は毎日だが、余裕のない時は手抜きもアリだ。その飾らなさがうけている。

 暮らしがテーマのブロガーやインスタグラマーの投稿を『みんなの家しごと日記』(2015年)、『みんなの持たない暮らし日記』(16年)など15シリーズにまとめた、出版元の翔泳社の本田麻湖さん(44)は言う。

「彼女たちが支持されるのは、手が届きそうに見えるから。ちょっといいモノをご褒美的に買い、家事のモチベーションを上げて暮らしを楽しむのも特徴です」

 先月発売された炊飯器「バルミューダ ザ・ゴハン」(4万1500円・税別)も「ちょっといい」の具現化だろう。うまみを閉じ込める蒸し炊きで、従来必須だった保温機能を味の劣化を理由にあえて外した。便利さより“おいしい体験”を重視した商品は発売前からSNSで話題だった。

 インスタグラマーの間で、いま注目されているのが、楽天市場で購入できるおすすめ商品を個人で紹介するアプリ「楽天ROOM」。商品を実際に使っている写真を投稿、自分のページ経由でその商品が購入されると、価格の5%のポイントがつく。影響力のあるインフルエンサーの中には、これだけで月20万円分のポイントを得る人もいる。楽天の須藤俊太郎さん(36)は、

「安いものを驚くほどおしゃれに活用している人がたくさんいます。見る側も、インスタでなじみ深い人の情報だと、モノへのイメージが変わるんです」

●SNSで広がる共感

 内村ゆきこさん(32)も、おすすめの商品をこのアプリで紹介している一人だ。洗剤など生活感が出るものは1個500円程度のシンプルなボトルに詰め替えて隙間なく並べ、統一感を出すなど見せ方も工夫する。

「インスタで海外のインテリアや暮らしを参考にしながら、安くてかわいいグッズを通販で探すんです。好きなもので掃除と片づけのテンションが上がれば、キレイは維持できる」(内村さん)

 人気インスタグラマーに共通するのは、気負いのない姿だ。大事にするものには惜しみなく、優先度の低いものには加減して、力を注ぐ。そんな“抜け感”のある家事への共感が、SNSを中心に広がっているようだ。(編集部・石田かおる、柳堀栄子)

AERA 2017年2月13日号