(撮影/写真部・松永卓也)
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勉強を始めた時期、医学部に進学した理由、ワーク・ライフ・バランスの希望は?
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希望年収額は?
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研修先の病院を選ぶ基準は?(医学生215人アンケートから)
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 いつの世も、医師になるには難関を突破しなければならない。現代のエリートたちはどうやって勉強し、何をめざしているのか。

 夏を過ぎたこのごろ、医学部6年生らは、卒業試験と医師国家試験に向け、準備を進めるまっただ中だ。

「試験はすべてハード。大学によっては1学年20人近い留年者が出たと聞きました。卒業試験に通らないと、国家試験を受けられないので、皆必死です」

 東京都内の私立大学医学部に通うAさん(24)は言う。

 入り口の医学部入試の難易度は年々上がっている。河合塾のデータによれば、国公立大学医学部の偏差値は、1985年に比べ、軒並み上昇。医学部は全国の優秀な学生が集まる傾向にあるのだ。

●講義はオンラインで

 医師国家試験対策のオンライン予備校medu4を主宰する穂澄医師は「彼らは中高時代から人気講師のオンライン講座を受け、最短距離で医学部に勝ち上がってきた世代。効率よく学ぶ習慣が身についています」と指摘する。

 その一人であるAさんは、こんな疑問を口にした。

「卒業試験の内容が国家試験に準拠しない大学もあり、医学生にとっては負担。効率よく勉強しようと考えると、大学の教授の講義より、オンライン予備校の講義が断然いい」

 AERAは、現役医師アンケートと同時期の9月、現役医学生を対象にしたインターネット調査を実施。国家試験や研究室進学に関心のある層を中心に、215人(うち男性124人、女性91人)の生の声を集めた。

 回答では、62%が大学生活で「勉強・進級に苦労した」としている。

 国家試験の合格率は高く、毎年9割程度の受験者が突破する。落ちる不安は少なそうに見えるが、医学生らにとってはプレッシャーだ。

「ほとんど落ちるのならいいが、9割が受かる試験に落ちるのは絶対に避けたい」

 と思うのだ。

●私生活とバランスを

 最近は国家試験の難易度も上昇傾向と言われ、

「大学の講義と過去問だけで、国家試験に挑む医学生は激減。直前対策を含めれば、ほぼすべての受験生が国家試験対策の講義を受講しています」(穂澄医師)

 以前はどの専門科に進むかという進路相談も多かったが、いまは国家試験に向け学習計画を立ててほしいという相談が多いという。

 では、医学生が勉強一辺倒かというと違うようだ。部活やサークルの所属者が9割近く、アルバイトをする学生も5割超いる。医学部に入る勉強を始めたのは、8割超が高校生以降だ。前出のAさんも、高校時代は野球部の部活や文化祭を思う存分楽しんだ。大学でも野球部に入り、現在は研究室での活動に熱中している。

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