熊本市内は10~20階建ての中層マンションが目立つ。旧耐震基準で建てられたと思われるものも多く、前述の地震への意識の低さから、耐震補強をしていない建物もたくさんあったと推測される。
阪神・淡路大震災では、お年寄りと20代前半の若者が多数犠牲になったが、両者の共通点は簡素な古いアパートの居住者が多かったこと。今回も南阿蘇村で学生が亡くなった。マンションは住む階数が安全性にあまり影響しないが、アパートの強度では2階の重さを支える1階がつぶれやすい。直下型は垂直方向の揺れも大きいので、なおさらだ。
住居を決める最重要ポイントは、新耐震基準の建物を選ぶこと。益城町でも、新耐震基準の建物の倒壊はほとんどない。それ以前の建物に住んでいる場合は、速やかに耐震補強すべきだ。マンションは管理組合の決議などに手間がかかることも多いが、命の重さには代えられない。
(アエラ編集部)
※AERA 2016年5月2日-9日合併号より抜粋