今回の九州・熊本大地震で、被害を受けた建築物から見えてくることがあるという。古賀一八・福岡大学工学部建築学科教授は地震の揺れの方向などに注目し、次のように話す。
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九州・熊本大地震では、東西方向に近い横揺れが起きたことで、被害が拡大した。
今回地震を起こした断層は、北を時計の12時とすると1時と7時を結ぶ方向に走っており、これが両側に開く方向に動いた。つまり、大きな揺れは4時と10時を結ぶ方向に起きたことになる。一般的に、南側には窓や縁側など開口部が多く、壁と平行方向の横揺れに弱い。6時の方向に当たる南側の壁は、今回、大きく横揺れしたはずだ。これは、周辺の墓石や灯籠が倒れた方向を見れば明らかだ。
もう一つの特徴は、被災地域の多くの建造物から、住民らが「地震は来ない」と思い込んでいた形跡が読み取れること。例えばブロック塀に設置が義務づけられている地震対策の「控え壁」が付いていないケースが多かった。