そんな山田選手の能力はどう育まれたのか。警察官の父・知規さん(57)は、高校時代に武術で全国チャンピオンに輝き、母の則子さん(54)はテニス経験者。その長男である山田選手は「赤ちゃんの頃から身体能力がすごかった」(知規さん)。特に驚くほどの「高速ハイハイ」が印象深いと振り返る。

 2人は「可能性を狭めず、いろんなことをさせてあげよう」と、体操、空手、水泳、サッカーといろいろ経験させた。

 山田選手が野球を始めたのは小学2年生のころ。友だちに誘われて、全国でも強豪の小学校の硬式野球チーム「宝塚リトルリーグ」に入った。総監督の李相鎬さん(57)は当時を懐かしむ。

「いまは立派なホームランバッターになりましたが、当時はアベレージヒッター。タイミングを取るのがうまく、どんな球でも打ち返すんです。ただ、相手のピッチャーに抑えられてべそかいていたこともありました。プライドが高く、同じことを何度も言われないように熱心に練習していましたね」

 小学5年から中学まで、知規さんは平日は毎晩、マンションの駐車場でティー打撃につきあった。バドミントンの羽根を使い、重いバットと軽いバットで交互に打たせて、速いスイングの感覚を体に植えつけさせた。

AERA 2015年10月19日号より抜粋