
民間人校長制度が導入されて15年。その活躍も、あまり聞かれなくなった。だが、奮闘は続いていた。
横浜市では、2005年からのべ12人の民間人及び行政職校長を採用。10年には検証委員会を置いて成果を検証した。市教委の小田英一教職員人事課長は話す。
「民間人校長による目覚ましい成果は、人脈を駆使して外部の力を教育に生かしている点です」
検証委員会の委員長を務めた常葉大学教職大学院の小松郁夫教授も言う。
「学校は時代に取り残されている部分が多くあります。たとえば月曜日は遅刻が多いというときに、漠然と『たるんでいる』と思うだけで、理由を分析しようとする先生は少数派。民間人校長は、具体的な原因を究明しようとしていました」
10年に女性初の民間人校長として、リクルート出身のベンチャー企業経営者、平川理恵さんを迎えた横浜市立市ケ尾中学校。毎月、さまざまな人が訪れて講演をしたり、ゲスト講師になったり、進路のアドバイスをしたりする。ときには、プロのダンサーがダンスを教えることもあるという。
今年、就任5年目。平川先生、学校は変わりましたか?
「『自立貢献』という教育理念のもと、開かれた学校づくりを目指してきました。ある程度達成できたと感じています。あらゆる人が学校を訪れるようになり、地域にも学校や先生たちの取り組みをかつてより発信できるようになりました」
卒業生が校長室を訪ねることもしばしば。あるOGはこんな相談を平川さんに持ちかけた。
「高校がつまらないんです」
平川さんの答えは、
「受け身でつまらないと思っているんじゃなくて、能動的に楽しくしなくちゃ。先生たちに、どう変えてほしいか伝えなさい」
※AERA 2014年11月17日号より抜粋
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