ワーキングマザーにとって実母は、仕事と育児の「両立」を支える最強の助っ人だ。実母がいなければ日常生活が破綻するという人も少なくないだろう。ただ、両者の間に必ずしも良好なコミュニケーションが成り立っているわけではないようだ。

「いい加減にしなさい! 文句ばっかり何なの!」

 名古屋市に住む女性(71)は、次女(40)の言葉にキレた。毎日預かっている孫息子を迎えにきた次女が夕食のおかずを見て、「息子が食べられないものばかり」と小言を言ったのだ。

 ハンバーグにひじき、サラダにみそ汁。毎日何品作っても、好き嫌いの多い小3の孫息子は、ほとんど食べられない。

「あれも食べない、これも食べない。偏食に育てたのは、あんたでしょ!と言いたかったんですが、耐えました」

 この女性、孫息子と次女に加え、同居する長女一家4人を含めて8人分の夕食を毎日作っている。次女が事務のパートを始めた5年ほど前から、ずっとこの生活。週末も次女が美容院だネイルだと孫を預けていくため、自分の時間はほとんどない。

「長女の子どもたちの世話をしたので、次女も当然と思っているんでしょう。でも、それは10年以上も前の話。もう若くないですから」

 70代の祖母たちにとって、育児は重労働だ。夏休み中、小学生の孫娘を2人、ずっと預かっていたという奈良市在住の女性(74)は、新学期が始まって孫たちが帰るとせきが続くようになり、病院へ。医師に夏じゅう孫の世話をしていたと話すと「この季節、病院に来る高齢者に、ものすごく多いパターンですよ」と笑われた。日に何人も、そんな「祖母」がやってくるという。

AERA  2014年10月6日号より抜粋