近年の草食男子やイクメンブームなどで変化を迎えた男性観。しかし、実際に育児にいそしむ男性や主夫たちは、周囲からの視線や関係性に悩んでいるようだ。

 自営準備中の男性(28)も平日に娘を図書館や児童館へ連れて行くと、「枠から外れた人」という目線を感じる。母親たちと話が盛り上がっても、仕事については聞かれない。タブーだと思われているのだ。

「自分では満足していますが、社会的には評価されていないのだと感じます」

 国の旗振りや企業の制度によって働く女性が市民権を得てきたことに比べると、男性は家庭や地域など統率のないコミュニティーに、たった一人で「進出」している。そこに「男は仕事、女は家庭」という強固な価値観をはらんだ「周りの目」が立ちはだかる。

 大阪でNPO法人を運営する主夫(40)は6年前、長女が通う保育園で、保護者会の会長を務めることになった。

 仕事ならプロジェクトなどで成果が出せるが、主夫にはそうした目標がない。だからなのか、気負い過ぎてしまった。

 夏祭りの直前、保育園が園本来の業務を理由に保護者会の行事を手伝わないと通告してきて、祭りの開催が危ぶまれた。

「あんまりちゃいます!」

 男性は園内の掲示板に「夏祭りやります」と書いたポスターを無断で貼った。このトラブルもあって園と保護者会との関係はこじれ、保護者会は“消滅”。

「男性だからと尖っちゃって、孤立してしまった。周りのママや保育士さんを上手に巻き込むべきでした」

AERA  2014年9月1日号より抜粋