老化に負けない体づくりは、誰もが取り組みたい課題。今年40歳を迎えた記者が、専門家に話を聞いた。
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まず会ったのは、諏訪東京理科大学共通教育センターの篠原菊紀教授。脳科学の専門家だ。
「脳の海馬では毎日新しくニューロン(脳の神経細胞)が作られますが、加齢に伴いその数は少なくなります。ニューロンの働きそのものも悪くなり、情報の伝達にずれが生じて学習や記憶の能力にも影響を与えます。ただ、脳の機能は誰でも一様に落ちていくのではなく、よく使っていれば落ちにくいのです」
思わず、「私は記者という仕事柄、脳を使っているので大丈夫ですね?」と口を挟むと、「仕事がルーティン化してれば脳の活性化には至りませんよ」とバッサリ。「長期的に続けないと効果が出にくい」と渋る篠原教授に「何とか1週間でOKなものを」と迫って教えてもらったのが、「Nバック」だ。
「ノートの端に適当な数字を書きます。NはナンバーのN。1ページずつめくって、前の数字を覚えているかチェックします。1ページバックから始めて、2バック、3バックとレベルを上げて。1日15分が目安です」
脳の機能維持には、「年だからと否定的な気持ちにならない」「社会に参加する」「文章を読み要約する」「複数のことを同時進行する」「ステップアップシステムがある習い事をする」なども大切。規則正しい食生活も忘れてはいけない。
「生活習慣病のリスクが高い生活を送っていると、脳の機能も低下することが明らかになっています。また、大量飲酒は脳室や前頭葉の萎縮につながり、記憶力を低下させます。お酒はワインを1日1杯程度に」
※AERA 2014年6月9日号より抜粋