

今、若い男女を中心に人気のテレビ番組「テラスハウス」。番組を企画したフジテレビジョン編成制作局編成部の太田大さん(34)に、番組の狙いなどを聞いた。
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初対面の男女6人が、一軒家で共に暮らす中で起こる青春模様を、台本なしでドキュメンタリー風に記録している番組が「テラスハウス」です。
シェアハウスを舞台にしたのは、社会の縮図のような暮らし方だと思ったから。SNSで自分の思いを吐露する若者が増えているので、一緒に暮らす環境に置かれれば、面と向かって本音を語るようになるだろうと考えたのです。
もう一つ、身近な人が登場するこの番組から、ネクストスターを育てたいという思いもありました。そのためには、見る人誰もが憧れを抱くようなキラキラした世界が必要だと考え、海の見える一軒家、自分では買えないような家具や車を用意しました。
一人の時間や空間がないことはかなりのストレス。喧嘩ぐらいするだろうと期待していましたが(笑)、衝突せずにうまく暮らしていますね。
正直、「自分には無理だな」と思うことが山ほどあります。自分のチョイスではないモノに囲まれて暮らす訳ですから。ところが、それがシェアハウスで暮らす良さでもある。お洒落に関心のない子が、他の人の洋服を借りているのを見て、「ここでの生活は、一人暮らしだったら触れないようなファッションや料理、音楽に日常的に触れることなんだ」と気づかされました。シェアハウスで暮らすことが、自分の感性や価値観を広げる助けになっているのです。
「テラスハウス」は、ナレーションやテロップを入れていません。画面のニュアンスをどう受け止めるかは、視聴者次第。こうした余白があるから、ツイッターでも盛り上がっているのだと思います。
※AERA 2014年1月27日号より抜粋