マンションの人気は、付設される共用施設の内容にも左右される。東日本大震災後、求められる共用施設も変わってきた。

「最近のマンションの共用施設には二つの流れがある」と指摘する。ひとつは管理費を抑え、安さをアピールする方法。もうひとつは一定の管理費はかかるが施設の充実をうたい、満足度に訴える路線だ。

「数年前の不動産ミニバブル崩壊以降、ディベロッパーの淘汰が進んだ結果、建物の性能では差がつきにくくなり、共用施設が注目され始めた。戸数が多いほど1戸あたりの管理費が安くなるため大規模マンションの人気が高まり、共用施設で競うようになった」(住宅評論家・櫻井幸雄氏)

 アエラは不動産情報会社のアトラクターズ・ラボを通じてマンション共用施設に関するアンケートを実施した。「利用度が高そうな」施設は駐輪場が駐車場を上回ったほか、集会所、ゲストルーム、コンシェルジュ、敷地内公園と続いた。川合勝久・東京建物住宅品質管理部課長は、

「稼働率が一番高いのはゲストルーム。住民が使うケースも多く、夜景の眺望など旅行感覚で非日常性を楽しんでいます」

 湾岸地域のマンションでは、一泊数千円程度でタワー上層階の豪華ホテル並みの施設を使えるため、花火大会の日は争奪戦に。たまに来るゲストのために余分な1部屋がある間取りの物件を買うと、数百万円も高くなり、布団をそろえると押し入れも必要になる。

 一方、設置費や管理費の負担も考え、なくてもといいと思う施設の上位には、プールや共同大浴場、シアタールームが挙がった。「使う人と使わない人が分かれる施設」とされ、利用度によって不公平感が高まる。「いらない」理由は、「近所にあれば十分」「人件費が高い」「管理費や固定資産税の増大につながる」などだ。

AERA 2012年10月22日号

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