錦織圭 (c)朝日新聞社@@写禁
錦織圭 (c)朝日新聞社@@写禁
この記事の写真をすべて見る

 いったいどこまで強くなるのか。錦織圭の活躍に触発され、日本男子テニス界が熱い。女子の陰に隠れていた不遇の時代は、もう昔の話だ。

 10月7日、楽天ジャパンオープンで初優勝した錦織圭(にしこりけい)はすぐに実感がわかないのか、記者会見で「信じられない」を3回繰り返した。

 決勝では、今季サービスゲームのキープ率93%と世界1位を誇るミロシュ・ラオニッチ(カナダ)の時速230キロ近いサーブに食らいつき、4度のブレークに成功した。

 錦織がもたらした波及効果はすごい。

 1990年代、伊達公子、沢松奈生子、杉山愛ら日本女子がトップ50に5人も名を連ねた時代があった。そんな「女高男低」の勢力図が一変している。

 女子で世界ランク100位以内(10月8日付)は、67位の森田あゆみだけ。女子より世界の選手層が厚い男子で、今年3月から錦織、添田豪、伊藤竜馬が100位以内に定着している。一度に3人は史上初で、全員がロンドン五輪に出場した。特に年初は120位台だった添田、伊藤の急成長はめざましい。

 国別対抗戦、デビス杯で今年2月まで日本チームを率いた竹内映二さんは「複合的な要因で化学反応が起きた」と、躍進の秘密を解説する。まず、13歳から米国留学で腕を磨いた錦織が世界の扉を開いた。添田、伊藤ら国内組は2008年からナショナルトレーニングセンターを拠点とし、ナショナルチームのコーチが海外遠征に帯同する体制が整ったことで成長が促された。

次のページ