東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
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新型コロナウイルス対策でマスクを着用する広島の選手たち (c)朝日新聞社
新型コロナウイルス対策でマスクを着用する広島の選手たち (c)朝日新聞社

 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、オープン戦の無観客試合が決まったプロ野球について開幕延期の必要性などを提言する。

【写真】新型コロナウイルス対策でマスクを着用する広島の選手たち

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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、プロ野球も2月29日から3月15日のオープン戦72試合を全て無観客試合で実施することを決めた。2軍の春季教育リーグも全試合を無観客で行うという。でも、こればかりは仕方がない。プレーする選手も、観戦するファンの方々も不安を抱えたままではいけない。

 オープン戦でも本拠地球場で開催すれば収益は何千万円となるであろう。ただ、ここまで来たら損得勘定ではない。2月24日に専門家らによる政府の専門家会議が「これから1~2週間が急速な拡大か、収束かの瀬戸際」と指摘。同25日には政府が対策の基本方針を決め、26日には安倍晋三首相が「全国的なスポーツや文化イベントについて、今後2週間は中止や延期、規模縮小の対応を要請する」と表明した。こういった非常事態で、興行目的で各種イベントを行ってはいけない。

 選手は戸惑うかもしれない。お客さんがいる日常がなくなるわけだから。オープン戦という冠は変わらなくても、ファンの方々の声援がなければ、選手の気持ちの入り方に影響も出る。ただ、それも乗り越えないと。いつか必ず事態は収束する。その時にファンの方々の前で変なパフォーマンスはできない。再び大声援を受けてプレーすることをイメージし、調整を進めないといけない。

 3月20日に開幕をしたいという思いは12球団一致したところだろう。12球団参加で設置を決めた対策委員会はしっかりと判断してもらいたい。斉藤惇コミッショナーは「お医者さまや、いろいろな方のご意見を聞きやっていきたい」と説明する。特に選手やスタッフに感染者が出た場合など、どうするのか。試合前に発熱の症状が出て病院で検査した結果、「陽性」となった場合など、開門した後に当日の試合を中止にできるのかどうか。そういったガイドライン作成をしっかりとやってもらいたい。開幕したとしても、球場での衛生管理、観客が体調不良を訴えた場合の対応など、取り決めを行わなければいけないことがたくさんある。

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