(13)早い段階で正しい情報を見分けるには?
日本大学危機管理学部の福田充教授が指摘する。
「新型の感染症については、わからないことが多くて当たり前。政府は、専門家が確認した情報に関しては、それが後になって『正確ではなかった』と評価されるリスクを恐れるのではなく、なるべく早くオーソライズし、国民に広く情報提供していくべきだ」
(14)政府の措置で重要なことは?
ウイルスなどの感染症によるパンデミック(世界的大流行)では、初動対応が重要だ。政府の対応としては、デマ流布やパニックを防ぐために、いち早く情報開示をする必要がある。
福田氏はこう見る。
「今回の新型肺炎では、発生源であった中国政府の対応自体が遅れ、後手に回ったことと、世界保健機関(WHO)の新型コロナに対する世界的な危険度評価を当初は『中程度』と発表していたことが、世界各国の政府の対応を鈍らせた」
(15)今後の危機対応としては何が求められる?
入国者への検疫を含む水際対策が重要だ。問題なのは、新型コロナの潜伏期間が長く、検疫検査の際に感染者が漏れてしまうことだ。この点について福田氏は次のように指摘する。
「私たちは、水際対策が100%完璧ではないという事実を意識し、ある程度は入ってくることを覚悟しなければならない」
もちろん、水際対策にまったく意味がないわけではない。
「水際対策によって感染者の入国をいくらかでも少なくすることで、パンデミックを起こりにくくすることは期待できる。日本人が感染したとしても、流行のペースをなるべくスローダウンさせることが重要。ウイルスに関する研究の進展やワクチンの開発など、適切な措置を取るための時間稼ぎとなる」(福田氏)
(本誌・亀井洋志、小島清利、山内リカ)
※週刊朝日 2020年2月28日号より抜粋