

昨秋、軽い脳梗塞を患い大きな動揺が走りましたが、「私は不死身です」の言葉とともに、2カ月ほどで仕事復帰した美輪明宏さん。この日は美輪さんの自宅に、作家の林真理子さんがお邪魔して、人生を振り返るお話をたっぷりうかがいました。
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林:心配しておりましたが、お元気そうですね。
美輪:おかげさまでなんとか元気になってきました。
林:軽い脳梗塞でいらしたんですよね。去年の9月ですか。
美輪:はい。仕事が終わって戻ってきて、玄関を上がったところで事務所の人と話をしてたら、言葉がもつれるんですね。あ、これは、と思ったら、事務所の人が「すぐ病院に行きましょう」と言って、病院に行ってMRIを撮ってもらったら、左側の脳の細い血管に白いのがポツンとあったんです。「これがいたずらしています。軽い脳梗塞です」と言われて、そのまま入院したんです。
林:ええ。
美輪:コンサートは全部キャンセルさせていただいたり、皆さんにご迷惑をかけてしまいましたけど、もうすぐ85歳になりますからね。
林:85歳には見えません。前にどこかで、「年齢って何なの? 誰かが勝手に物差しにしてるだけで、そんなの私にはまったく関係ありません」とおっしゃったのを覚えてますよ。
美輪:とは言うものの、その前はびまん性汎細気管支炎という難病指定の病気にもなってましてね。26年ぐらい前に治してもらったんですが、10年ぐらい患ってたんです。呼吸ができなくて、東京駅の階段を上るのもやっとで、2、3年の命だと言われてたんですけど、薬が効いたらしくて、奇跡的に4カ月で治っちゃったんです。
林:まあ、ほんとですか。
美輪:でも最近ちょっと運動して、呼吸をすると「ヒューヒュー、ピーピー」言うんです。また病院に行かなきゃいけないなと思ってるんですけど……。だから同時多発的にあっちこっち大変でございます。
林:どうかお大事になさってくださいね。(部屋を見回して)それにしてもこのお部屋、本当に素敵なものに囲まれてますね。